宅建とは


宅建とは、正式名称を「宅地建物取引士」といい、不動産取引を公正に行う目的で創設された国家資格です。

不動産取引では扱う金額が大きく、また複数の法律が関係するため、専門知識を有する人でなければ取り扱いが困難と考えられています。

そのため、宅建業法では不動産の売買、仲介などの取引を行う際は、宅建の有資格者を交えることを定められており、違反した場合、事業者に罰則が科される場合もあります。

また、宅建業者はひとつの事務所につき、5人に1人の割合で宅建資格者を設置しなければならない決まりがあり、資格者が不足すると営業ができなくなってしまいます。

こうした理由から、宅建は国家資格の中でも大変人気の高い資格となっており、試験には毎年20万人前後の人が受験を申し込んでいます。

なお、宅建の正式名称は、以前は「宅地建物取引主任者」でしたが、2015年の宅地建物取引業法改正により「宅地建物取引士」の名称に変わっており、いわゆる「士業」の一つとなりました。

仕事内容

宅建士の仕事内容は、不動産の売買契約、賃貸契約、交換契約など代理、仲介をメインとした不動産取引に関する業務全般です。
これらの業務の中に、以下、3つの独占業務があります。

重要事項説明】

不動産の売主・貸主は、売買や賃貸借の契約を締結する際、買主・借主に対して契約に関する重要事項を説明することが定められています。

この際に行う重要事項説明は、宅建士のみが行える業務です。

重要事項説明書(35条書面)の記名・押印

重要事項の説明は書面をもって行わなければなりません。

作成する書面は、重要事項説明書(35条書面)と呼ばれています。

重要事項説明書には担当する宅建士の記名・押印が必要です。

契約書(37条書面)の記名・押印

不動産取引を成立させるためには、売買・賃貸借の契約書を締結する必要があります。

契約書の交付は資格を所持していない一般の従事者でも可能ですが、書面には宅建士の記名・押印が必要です。

もちろん、これらの独占業務以外にも、不動産の専門知識を有する人として、売買・仲介営業、不動産投資事業、リーシング事業など不動産に関わる業務全般で活躍できます。

宅建士の魅力とは

宅建資格を取得すれば、様々な仕事で活かせます。

以下に宅建を取得する魅力を4つに分けて紹介します。

就職・転職に有利

冒頭でも説明した通り、不動産業ではひとつの事務所につき、5人に1人の割合で宅建資格者を設置しなければならない決まりがあります。

たとえ実務経験のない人であっても、資格を所持していれば人数にカウントされるため、資格者の足りない不動産会社は、1人でも多く採用したがる傾向があります。

つまり宅建資格を所持していれば、不動産業界未経験であっても転職できるチャンスがあるということです。

働き方が選べる

宅建の資格所持者は不動産業界に限らず、建築業や金融業、一般企業の総務・経理部など、様々な仕事で活躍できます。

現在所属している業界から、別の業界への転職を考える場合において役立つでしょう。

また、宅建資格を所持して「宅地建物取引業免許」を取得することで、独立開業が可能となります。

独立開業すれば、実力次第では会社員より大きく稼ぐことができ、自分で事業を経営する喜びも得られることでしょう。

さらに会社員として働きつつ、副業として宅建資格を活用することもできるので、収入源を増やしたいと考えている人にとってもおすすめです。

年収が安定している

宅建の資格を所持していれば、年収のアップにも繋がります。

特に不動産会社の社員であれば、資格手当がつく会社がほとんどです。

会社にもよりますが、月1~3万円が相場となっており、高いところだと5万円以上の手当を得られるケースもあります。

また、宅建士が活躍しやすい不動産・金融業界は、平均的な年収が高い傾向にあります。

資格が評価されない業界に所属している場合、年収アップには繋がりませんが、資格を活かして転職すれば、安定的な年収を得られるようになるでしょう。

コロナ禍でも需要がある

新型コロナウイルスの感染拡大により、オフィスビルの需要は減少傾向にあります。

テレワークが普及したことで、貸室を解約するテナントも増えてきました。

しかし、マンション・一軒家などの住居は、コロナ禍においても需要があります。

また、現在の日本は超低金利時代に入っており、住宅ローンも組みやすく、今後も住宅を購入する人が減ることはないと予測されます。

市場の変化はあっても、今後も不動産取引ができる宅建士は需要があると考えて良いでしょう。

主な働き方

上記でも少し触れましたが、宅建士には、以下の3つの働き方があります。

  • 独立開業する
  • 会社員として働く
  • 副業で活かす

それぞれどんな特徴があるのか、具体的に解説していきます。

独立

独立開業は宅建の資格を所持しているだけではできません。

事務所の設置、会社の設立、「宅地建物取引業免許」の取得、以上3つの手続きが必要となります。

宅地建物取引業免許は、申請手続きをすることで、国土交通大臣または都道府県知事から与えられます。

申請先は、「1つの都道府県内に事務所を持つ」場合は都道府県知事免許、「2つ以上の都道府県に事務所を持つ」場合は国土交通大臣免許になるので注意しましょう。

また義務ではありませんが、ほとんどの宅建業者は宅建協会へ加入しています。

宅建協会には「全国宅地建物取引業協会」と「全日本不動産協会」の2つはあるので、独立開業した際には、どちらかに加入するものと考えておいてください。

このように独立開業にはいくつかのステップを踏まなければなりませんが、自分で経営戦略を立て、利益を上げたいと考えている人にとっては、魅力的な働き方といえるでしょう。

社員

宅建士は不動産業、建築業や金融業、一般企業の総務・経理部など、様々な仕事で活かせます。

不動産業界では、ここまで説明した通り、事務所ごとに設置義務がある点、独占業務が与えられている点から、非常に重宝されます。

宅建士の知識がもっとも活かせるのも不動産業なので、就職や転職にも有利です。

また、金融業でも宅建士は必須な存在です。

たとえば、銀行が融資業務を行う場合、不動産を担保とする場合がありますが、その際、不動産の価値を把握するために、宅建士の知識が要求されることがあります。

不動産担保ローン、住宅ローンを取り扱う金融機関も多く、金融業と不動産の知識は切っても切り離せない状態となっているため、営業所ごとに宅建士を配置している金融期間も増えています。

そのほか、不動産の知識は色々な場面で役立つことが多いので、会社員として働くのなら持っていて損はないでしょう。

副業

近年、宅建資格を副業に活かす人が増えています。

副業に活かす場合、もっとも有効なのは独占業務の代行です。

不動産会社が繁忙期で人手が足りない時期などに、重要事項説明などの業務を外部に依頼するケースがあるため、説明や記名・押印を代行することで収入を得られます。

平日は会社員として働き、土日は不動産会社の宅建士として働く「週末宅建士」も増えています。

また、2017年の法改正で、webシステムを利用した「IT重説」の運用が開始されたため、リモートや在宅でも勤務することも可能となり、宅建士が副業としてより活かしやすい環境になりました。

ただしIT重説は、現段階では賃貸の契約のみ利用できる制度であることを覚えておいてください。

宅建士になるには

最後に宅建士になるための方法について解説します。

宅建士として働くためには、試験合格だけでは不十分です。

都道府県で資格登録をし、取引士証の交付を受けることで初めて業務が可能となります。

具体的にどのような手順で進めればよいのか、見ていきましょう。

試験に合格

宅建試験は毎年1回10月に実施されます。

受験するのに条件はなく、年齢・性別・学歴・国籍を問わず誰でも受けることができます。

毎年20万人前後の人が受験を申し込んでおり、とても人気の高い国家資格です。

問題は以下の4科目に分類されます。

  • 宅建業法
  • 民法
  • 法令上の制限
  • 税その他

合格率は毎年15%前後で推移しており、合格点は相対評価のため試験の平均点に応じて変わる仕組みになっています。

過去10年間のデータでは、50点満点中31~37点が合格のボーダーラインになっていますが、年によって合格点が変動する点は、受験生にとって大きなプレッシャーとなります。

合格するために必要な学習時間は人によりけりですが、大体500時間程度が目安とされています。

試験も単純な暗記のみでは乗り切れない問題が出題され、特に民法の分野では深い思考力を要求されるケースが多いです。

登録、交付申請、実務経験がない人は講習

試験合格のみでは、宅建士として働くことはできません。

試験に合格した都道府県で資格登録を行い、宅地建物取引士証の交付を受けることで、初めて宅建士としての業務が行えるようになります。

この際、2年間の実務経験がある人は、資格登録後に取引証の交付を受けられます。

しかし実務経験がない人は、国土交通大臣の登録を受けた機関の実務講習を受講しなければ、資格登録ができない仕組みになっています。

また、試験合格後1年以内に交付申請手続きを行っているかどうかで、手続きが異なる点にも注意が必要です。

もし試験合格後、1年を超過してしまうと、資格登録を終えた後に、都道府県知事の指定を受けた機関が実施する法定講習を受講しなければ、取引士証の交付は受けられません。

したがって、取引士証を得たい場合は、試験合格後、速やかに資格登録手続きに移ることをおすすめします。

まとめ

以上、宅建資格の概要、魅力や働き方、取得方法などについて解説してきました。

住宅を始めとする不動産は、人が生活していくうえで欠かせないものですので、不動産を取り扱う仕事が無くなることはないでしょう。

そのため、不動産の専門知識を有する宅建士は、これからの時代においても引き続き活躍するものと予想されます。

ぜひ不動産の専門家を目指し、宅建の勉強に励むようにしてください。