宅建の試験科目「権利関係」とは


権利関係は宅建試験において、2番目に出題される科目です。

宅建試験において、もっとも難易度が高い科目であり、暗記しているだけでは対応できない問題が多く応用力が要求されるため、正答率は低めです。

権利関係の科目で満点を取るのは非常に難しく、本番の試験では時間制限もありますので、数分ほど考えてもわからない場合は捨てるぐらいの割り切りも必要でしょう。

しかし、正答率が低いのであれば、逆にこの科目で高得点が取れれば、他の受験者と差をつけられることは間違いありません。

また、いくら難しい科目であるとはいえ、まったく得点できないようでは合格点に達しませんので、他の科目と同じくしっかりと時間をかけて勉強する必要があります。

本記事で権利関係の概要や出題傾向、勉強のポイントについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

権利関係とは

権利関係では民法、借地借家法、区分所有法、不動産登記法など、さまざまな法律に関する知識を問う科目です。

特にメインとなるのは民法です。

民法とは身近な生活に関わる契約のルールを定めた法律のことですが、1000条以上にも渡る非常に範囲の広い法律です。

宅建試験においては、民法のすべてが試験範囲となるのでなく、代理、請負、債権・債務、抵当権など、宅建業に関係のある内容のみ出題されます。

こうした法律の知識を元にした事例問題が多く出題されますので、知識を活用して「このケースであればこうなる」という論理を組み立てていく問題が多いです。

なお、その他の法律は、以下のような内容です。

  • 借地借家法:地主と借地人の権利や義務を定めた法律
  • 区分所有法:主にマンションの居住関係に関するルールを定めた法律
  • 不動産登記法:不動産の登記制度に関するルールを定めた法律

後述しますが、点数配分としては全14問のうち、民法が10問あり、残り4問が借地借家法、区分所有法、不動産登記法から出題されます。

試験の出題数や近年の出題傾向など

権利関係の出題数や近年の出題傾向などについて、具体的に解説していきます。

宅建試験の勉強でもっとも苦戦しやすい科目ですが、問題数も多いので、決して捨てて良い科目ではありません。

また、民法や借地借家法の知識は、実務でも非常に役に立ちますので、不動産会社などに勤務する人は、特に力を入れて勉強するようにしてください。

出題数と目指すべき得点

権利関係の出題数は14問です。

このうち、民法に関する問題が10問程度あり、残り4問が借地借家法、区分所有法、不動産登記法に関する問題なので、民法のボリュームがとても大きいことがわかるでしょう。

合格を目指す場合、14問中7~9問程度の得点を目標としたいところです。

暗記しているだけでは通用しない問題が多く、かなり細かい知識を問われる問題も出ますので、全問正解は難しく、7割程度の正答率でも十分です。

もちろん、全科目がこのレベルでは合格点ギリギリになってしまうので、他の科目で点数を稼ぐことを前提に考えるようにしてください。

ただし、不動産会社などで実務を経験している人は、実際の事例を理解しているため、権利関係の問題のほうが得意という人もいるでしょう。

近年の出題傾向と対策

前述した通り、民法に関する問題が多いので、民法をメインで勉強することが大切です。

民法で主に問われる内容としては、以下のものです。

  • 制限行為能力者
  • 意思表示
  • 代理
  • 時効
  • 不動産物権変動
  • 抵当権
  • 債務不履行と解除
  • 賃貸借
  • 相続

民法の範囲は非常に広いため、すべての範囲に手を出すと、膨大な時間がかかってしまいます。

あくまで宅建試験に関係する分野だけを勉強するように意識しましょう。

なお、宅建試験用のテキストでは、これらの内容を中心にしていますが、民法専用のテキストなどでは、他の分野についても触れられているので、覚えるべき箇所とそうでない箇所の見極めが大切です。

また、出題形式のパターンが全科目の中でもっとも多いという特徴もあります。

法律の規定をそのまま問うタイプの問題や、複数の登場人物を並べた事例式タイプの問題や、裁判所の判決文を抜粋して主旨を問うタイプの問題などがあります。

どのタイプの問題も文章が長く、さまざまな法律用語が出るため、初めのうちは問題を解くのに時間がかかり、取っつきにくいと感じるでしょう。

こういった問題に慣れていかなければならない点も、権利関係の難易度を高めている理由の一つです。

勉強するにあたってのポイント

次に権利関係を勉強するにあたってのポイントを解説します。

民法の範囲がとにかく広いため、どこまで勉強すれば良いのかわかりにくいと感じる人が多いでしょう。

あまり深入りすると、膨大な勉強時間がかかってしまうので、ある程度見切りをつけなければなりません。

とはいえ、丸暗記するだけで対処できる試験ではないことを覚えておきましょう。

丸暗記はNG

権利関係の場合、宅建業法のようにテキストや過去問を解いて暗記する方法では、正答できない問題が多いです。

他の科目では過去問の類似問題が多く出され、暗記だけである程度対応できる問題も多いのですが、権利関係ではそうはいきません。

権利関係の問題では、ある事例を元にして、この場合はどういった結論になるか考えるタイプの問題が多く出題されています。

この事例ではこういった結論になるという、すべてのパターンを丸暗記するのは不可能に近いため、法律の知識と考え方を身につける必要があるでしょう。

もちろん、暗記が必要ないというわけではなく、むしろ民法を中心とした法律の知識を覚えていることを前提として、考え方を学んでいくことが重要です。

過去問の丸暗記をしてはいけませんが、法律の知識はしっかりと覚える必要があるということを頭に入れておきましょう。

しっかりと問題を読み込むこと

権利関係の具体的な事例を元にして「この場合はどうなるか?」と問われるケースが多いです。

しかし、一問あたりの文章が長く、何を聞いているのかがわかりにくいため、問題を注意深く読むことが大切です。

特にA、B、Cなど人物が複数出てくるケースが多いため、誰が何をしたのかを頭の中にイメージする必要があります。

頭の中だけで整理できない場合、答案用紙の余白などに関係図を書く方法がおすすめです。

図を書いておけば、後で見直しをする際にもわかりやすいので、限られた時間の中で行うためには効果的です。

全問正解を目標としなくても良い

前述したように、権利関係では満点を狙う必要はありません。

特に民法の分野では、重箱の隅を突くような問題も出されるため、すべての問題を正解するのは非常に困難です。

6~7割程度の得点で良しとして、他の科目の勉強に注力するようにしましょう。

とはいえ、初めから捨て科目と考えてはいけません。

簡単な問題が出される場合もありますし、毎年1問は出題される判例問題は、文章をしっかり読めば知識がなくても得点できるため、サービス問題と考えても良いほどです。

このあたりの問題で確実に1点とる力をつけておきましょう。

おすすめの勉強方法

権利関係を攻略するうえで、おすすめの勉強方法を解説します。

基本的には他の科目と同じく、テキストを読んで過去問や問題集を解く方法がおすすめです。

ただし、暗記しているだけでは対応できない問題が多いため、一問一問をしっかり理解することを意識する必要があります。

過去問で対策する

権利関係は他の科目と比較すると、過去問の類似問題が出にくいため、過去問による学習はあまり効果がないのではないかと考える人もいるでしょう。

確かに過去問だけやっていても合格に必要な実力は身につきません。

何度も過去問を解いていると、問題の答えを覚えてしまい、本質が理解できないままになってしまう可能性があります。

特に権利関係においては、覚えているかどうかではなく、考え方を問うタイプの問題が多いため、過去問の正答率が上がっても、本番で高得点がとれるとは限りません。

とはいえ、過去問を勉強すれば、ある程度出題パターンがつかめるようになりますし、少ないと類似問題も出ますので、決して無意味ではありません。

また、権利関係の問題は、一問あたりの文章がとても長く、理解するのに時間がかかるという特徴がありますので、前述した通り、問われている内容を図に書き出しながら取り組む方法がおすすめです。

過去問学習を行っておけば、こうした解き方を身につける訓練にもなりますので、やはり効果が高い勉強方法といえるでしょう。

補助テキストを利用する

宅建試験対策用のテキストはたくさんありますが、あまり複数のテキストを併用するのはおすすめできません。

テキストによって考え方や教え方が違ったりするため、下手に手を出してしまうと、混乱してしまう可能性があるためです。

しかし、民法に関しては宅建試験用のテキストのみで勉強すると、内容がやや薄くなってしまうため、補助テキストを利用することをおすすめします。

民法専用のテキストは色々と種類がありますが、特に宅建業に関わる内容を詳しくまとめたテキストを選ぶと良いでしょう。

注意すべき点として、宅建試験と関係のない分野には踏み込まないようにしてください。

民法の範囲は非常に広く、知っていると役に立つ分野も多いため、つい試験と関係のないところまで勉強してしまう人もいるでしょう。

しかし、勉強効率を考えると、そういったところで時間を費やすのは望ましくありませんので、あくまで宅建試験に合格するための勉強であることを忘れず、試験に関わる内容のみ集中して覚えるようにしてください。

まとめ

以上、権利関係の概要や出題傾向、勉強のポイントについて解説してきました。

試験科目の中ではもっとも難易度の高い科目ですが、逆にこの科目で高得点が取れれば、他の受験者と差をつけることができます。

とはいえ、出題範囲が広い関係上、満点を狙った勉強をしようとすると、膨大な時間がかかってしまいます。

勉強効率を考えると、ある程度の割り切りをつけることも大切なので、重箱の隅を突くような問題は捨て問と捉え、あまり深入りしない判断も必要です。

ただし、権利関係の問題は宅建業の実務において非常に役立つ科目なので、深い知識を身につけることは、決して無駄にはならないでしょう。

試験対策という意味合いだけでなく、実際に仕事で活かすつもりで勉強すれば、勉強に対するモチベーションも上がりますので、ぜひ実践してみてください。